レベル4飛行実現に向けた飛行の安全を厳格に担保する仕組みとして、現行の飛行申請や飛行情報共有、機体登録制度に加え、「ドローンの機体認証制度」「操縦者の技能証明制度」の2つの制度が新しく創設されます。
前回は、2つの制度のうち「ドローンの機体認証制度」について解説しましたが、今回は、もう1つの新制度「操縦者の技能証明制度」について、解説していきます。
現状はドローンに免許制度はなく、民間資格のみ
2022年9月現在、日本ではドローンに関する民間資格や飛行に関する規制を定めた法律は存在しますが、ドローン操縦士に対する「免許制度」は導入されていません。
現状の民間資格では管理団体や資格ごとに証明できる技量は異なり、その仕組みを飛行許可・承認の簡略化などに反映させることは、申請書類の一部省略など限定的にならざるを得ませんでしたが、今後「操縦ライセンス制度」が導入されることにより、大きく発展することが予想されます。
「操縦ライセンス制度」って?
国が管理する国家資格です。
これまで、ドローン関連資格・ライセンスは民間管理団体が設立したものでしたが、「操縦ライセンス制度」は、国が設立する国家ライセンス制度として、自動車の運転免許のように国が設立・管理していくものとなります。
国が統一規格の操縦ライセンス制度を新設することにより、ドローン操縦者に必要な技量や知識を明確化するとともに、その証明された技量や知識に基づいて特定飛行の許可承認に対する手続きを簡略化・合理化しようというものになります。
操縦ライセンスの種類は?
飛行に必要な操縦ライセンスは一等資格と二等資格の2種類。
操縦ライセンスには、これまで原則飛行禁止としてきた、「第三者上空の(目視外)飛行)」 を可能とする「一等資格」と、第三者上空の飛行はできないものの、これまで飛行許可・承認が必要だった飛行空域や飛行法が手続き不要で可能になる「二等資格」の二種類が用意されます。
取得は16歳以上、有効期限は一等資格が1年間、二等資格は3年間です。
一等資格は、現場の航空法では飛行が禁止されているレベル4飛行を実施するにあたり新たに必要になる技能証明ライセンスです。
一等資格を持ったパイロットが、第一種機体認証を受けた機体で、適切な運航管理体制を設けた上で飛行許可・承認申請を行い、許可・承認が得られればレベル4飛行が可能になります。
二等資格は、第三者上空を飛行させないものの、これまで飛行許可・承認が必要だった、人口集中地区での飛行や、夜間・目視外(補助者あり)・人・物件との距離30m以内の飛行について、飛行許可・承認申請を不要とすることができる技能証明ライセンスです。
操縦ライセンスがなければドローンは飛ばせないの?
今後、操縦ライセンス制度が導入されることで、ライセンスがなければドローンが飛ばせなくなるというわけではありません。
操縦ライセンスは、レベル4飛行に必要であったり、一定の飛行において飛行許可・承認が不要になったりするというものです。
例えば、人口集中地区で飛行させる場合、二等資格があれば一定の運航ルール内で申請不要で飛行ができますし、二等資格がなくても、これまでどおり飛行許可・承認申請を行い、飛行許可を取得すれば問題ありません。
ただし、レベル4飛行を行うには、一等資格の取得は必須となっていますので、ドローンを活用した物流、遠隔地の点検、警備などに携わる人には重要な資格と言えます。
操縦ライセンスは、どうやって取得する?
操縦ライセンスの取得には、国の指定試験機関にて学科試験・実地試験・身体検査に合格する必要があります。
各種合格証明書を取得し、システム上での申請、必要な手数料や登録免許税の支払いを行うと操縦ライセンスが発行されます。
現在、1,200校以上の民間ドローンスクールが存在しますが、そのうち一定の講習要件を満たすスクールは「登録講習機関」として受験用講習を提供する予定です。
登録講習機関実施の実技講習・試験に合格すると、指定試験機関で受験した際の実地試験が免除され、すでに取得している民間資格が無駄にならない様、登録講習機関での受講時間を少なくするなどの優遇措置も検討されています。
例えば二等資格の場合
初心者:座学講習10時間以上・実地講習10時間以上=合計20時間以上 経験者:座学講習4時間以上・実地講習2時間以上=合計6時間以上
と、取得にかかる時間に大きな差が生まれてしまうので、今のうちから民間資格を取得する方が近道かもしれません。
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今回は、ドローンの「操縦者の技能証明制度」ついて解説してきました。
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